特別な機械操作もいらず、人手をかける必要がない自走式立体駐車場は、立地面積を余すことなく使えるタイプのものも登場し、人気となっています。自走式立体駐車場に注目が集まるのは、単に駐車場として生かすだけでなく、他の目的でも使用できることが関係します。例えば、災害の際の避難先としての活用が期待されています。自然災害の多い日本では、災害の際の避難場所の確保を考えて街づくりが進められています。
特に東日本大震災の際は、山地など高台に行くことができずに津波の被害にあった方が多く、町中に頑丈な建物があればと悔やまれるケースもしばしばでした。そのようなことを考えると、自走式立体駐車場には様々な利点があります。自走式立体駐車場は、万が一、駐車場内で火災などが発生した場合に人命を守るため、外壁を設けずに酸素や逃げ場を確保するように設計されています。また、外壁がないことで、津波が押し寄せても水の力が分散され、建物自体の倒壊や損傷を防ぐことができるので、高台非難を実現できます。
実際、2017年に発表された「津波避難ビル等に係る事例集」では、自走式の駐車場を津波避難ビルとして利用する利点が示され、同時期に発表された津波避難ビル等を活用した津波防災対策の推進についての技術的助言では、津波避難ビルの指定が可能になっています。自走式立体駐車場は、そのほかに屋上を展望台にしたり、庭園などを造ることで地球環境を守る取り組みを行うこともできます。